老健の入所期間は3か月!?

皆さんこんにちは。

Harukich@社会福祉士です。

私は普段、介護老人保健施設(通称:ろうけん)で相談員をしております。

 (↓相談員の仕事内容はコチラから)

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老健への入所を考えたとき、「期間は3か月ですよ」というお話、聞いたことありませんか?実は老健という施設自体は3か月以上入所できる施設で、私が勤務している施設でも5年以上入所している方が何名もおります。

前回のブログでも簡単に触れましたが、今回のブログでは3か月という数字について深堀し、なぜ3か月という数字が独り歩きしているのかを考えていきたいと思います。

 (↓ちなみに前回のブログはコチラです)

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そもそも老健って?

老健は三種類ある介護保険施設のうちの一つで(残りは特別養護老人ホームと介護医療院です)、病院での治療は済んで退院できる状況になったけれど、自宅へ帰るにはまだなにがしかの準備(例えばリハビリや住宅改修など)が必要な方が一時的に入所をする施設です。病院に入院している方だけでなく自宅で生活している方も入所の対象となり、低下してしまったADLの改善目的や月単位の介護者のレスパイト(休憩)目的で利用していただくことがあります。レスパイトというと短期入所生活介護ショートステイ)の利用が一般的ですが、介護保険の限度額を気にしなければならないショートステイとは異なり、10割負担になるリスクを気にすることなく一か月以上利用できること、利用期間中に重点的にリハビリを行うことができることが、老健を利用することのメリットです。

なお老健介護保険施設ではありますが、常勤の医師がおり看護師は24時間常駐しているため、病院ほどではないですが医療面でのニーズに応えることも可能です。

 

どうして3か月?

老健で算定できる加算として、「短期集中リハビリテーション実施加算」というものがあります。

まず老健ですが、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)というリハビリテーションの専門職が配置されています。簡単にそれぞれの職種を紹介しますと、理学療法士は歩くことに関しての、作業療法士は腕を使うことに関しての、言語聴覚士は食べたり話したりすることに関しての専門職です。老健の生活においてはリハビリテーションの実施が可能で、原則的には1回20分程度の個別リハビリテーションを週1回と集団リハビリテーションを週1回(在宅強化型に至っては個別リハビリテーションを週3回)行うこと、とされています。

しかし入所当初3か月間に限っては、短期集中リハビリテーション実施加算というものの算定が可能で、1回20分以上のリハビリテーションを週3回以上実施できるようになるのです。※ただし加算なので、通常の入所費用に加えて1日あたり240単位:週5日行うと5000円ほど追加で支払う必要があります。

入所期間が4か月目に入ると通常のリハビリテーション回数しか提供できなくなるため、3か月かけて向上したADLが下がってしまう恐れがあります。

なので、「入所期間は3か月」を目安に、ということになるんです。

 

退所後はどうする?

老健は、退所してしまうと二度と利用できない、という施設ではありません。ADLの低下によるリハビリテーションが再び必要となった時や主介護者のレスパイトが必要になった時には、再入所を検討すると良いでしょう。

ただし注意しなければならないのは、退所から再入所までの期間が短いと短期集中リハビリテーションが実施できない可能性があるのです。短期集中リハビリテーション実施加算の算定要件には、「過去3か月間に老健に入所していないこと」という条文が含まれているからです。

なお老健には、短期入所療養介護というショートステイのサービスを提供している事業所も多くあります(空床利用という、入所のベッドが空いているときにしか使えない施設が多いかと思いますが)。老健でのショートステイであるため、短期入所生活介護ショートステイ専門施設)には無い個別リハビリテーションの実施も可能となっております。

 

まとめ

老健で数多くリハビリテーションを行うには、入所から3か月間までです。経営的な観点から考えても、短期集中リハビリテーションの算定期間終了後に在宅復帰し、再度算定できるようになる3か月が経過してから再入所する、という入退所を繰り返すことは、施設にとってもとてもありがたいお話です。

3か月という数字がどうしても独り歩きしてしまいますが、3か月の中身をじっくり考えること、3か月が経過した後の生活の様子を想像しながら老健への入所を考えると、より濃い3か月間が遅れるかもしれませんね。

ただし3か月という数字は絶対ではないので、入所を検討する高齢者やご家族は必要以上に囚われる必要はありません。

願わくば皆さんが入所を検討する老健の相談員が、3か月という数字だけでなく本人やご家族の背景も含めて入所期間を考えられる人物でありますように…