老後2000万円問題を考えよう
皆さんこんにちは。
Harukich@社会福祉士です。
「老後を生き抜くには2000万円必要だ!」と叫ばれて久しいですね。
今回のブログでは、普段介護施設の相談員という立場から高齢者のお金問題と向き合っている私が、施設に入る段階でいくら手元にあれば大丈夫か、をお伝えします。今実際に家族の介護問題に直面している方や、「老後に向けていくら貯めればいいのだろう?」と悩んでいる方など、様々な方の参考になれば、と思います。
あなたは家族に介護をさせたいですか?それとも施設に入りたいですか?
あなたは生活全般で介護を受けなければならない状況となった時、どこで生活したいですか?
老後いくら必要か、という問題には、どこで生活するかで考え方が変わってきます。月々に係る金額としては、家で生活するより施設へ入ると倍近く係ると考えてもいいかもしれません。
しかし私個人の考えとしては、施設へ入所することをお勧めします。
どのような状況であったとしても介護が必要な状況となった時に自宅で生活していると、家族の手を借りなければならない時が出てきます。これは極論ですが、ご自身の子どもに自分のおむつ替えをさせたいですか?ということなんですよね。
したがって今回の記事では、施設へ入所するためにお金を貯めることを前提とします。
年金受給額はいくらか
さて、あなたはご自身の年金受給額をご存じですか?
国民年金を満額受給できる場合、いくらもらえるか知っていますか?
現在の国民年金は、満額で二月で13万円、ひと月6万5千円受給することができます。会社員の方はこの額に加えて厚生年金がもらえますよね。
ただしこの額は現時点の受給額であるため、私たちが将来年金を受給できるようになる頃には額が減っている可能性があります。
したがって、自身の年金受給額に合わせて老後資金は準備する必要があります。
施設の費用はいくら?
さてここで、一般的な施設に入った時の費用を想定して、話を勧めましょう。
「特別養護老人ホームの場合」
特別養護老人ホーム、通称特養は、ユニット型か従来型かで費用が異なってきます。が、概ね14万円程度としましょう。
ちなみに特養は、現行では要介護3以上にならないと入所できません。
ですが実際には要介護3の方は入所の優先順位が低い場合が多いです。
かつ私たちが要介護状態となるころを想定すると…もしかしたら要介護4以上が施設申し込みの基準となっているかもしれません。
いくら準備する?
さて、では計算してみましょう。
特養に入所する場合の14万円-国民年金受給額6.5万円=7.5万円!
月7.5万円×12か月=年90万円。
ちなみに特養への平均入所期間は4年だそうです。
90万円×4年=360万円!!
特養への入所を想定した場合、入所前に手元に少なくとも360万円あるじょうきょうにしておきましょう。
360万円準備しよう!
さて今回は、老後2000万円問題に対し、施設に入る直前にいくら残しておくと良いか、という面からアプローチしてみました。
こういったニュースはどうしても数字が独り歩きしてしまいますが、どのような生活を送りたいかを想定して、その上で金額を考えていくと具体的になりますね。
実際には病院へ入院することがあったり、実際に亡くなった時には別で費用が必要だったりするかと思います。
しかし、2000万円は必要ない、ということがわかれば、少しは肩の荷が軽くなったのではないでしょうか。とは言え資産形成は重要ですので、早い段階から準備するようにしましょう。
ケアマネジャーへの道①
皆さんこんにちは。
Harukich@社会福祉士です。
高齢者介護分野において、介護計画=ケアプランを立案する職種である介護支援専門員=ケアマネジャー。
自宅で介護を受けている方も施設に入所している方も、ケアプランをもとに介護が提供されます。
令和4年度(第25回)の介護支援専門員実務研修受講試験を受験する予定の私の、勉強の様子を含めた試験当日までの道のりをシリーズ化した記事にしたいと思います。
同じ年に受験を予定している方、一緒に勉強頑張りましょう。
勉強の参考にしていただいたり、勉強継続のモチベーションにしていただけたりすればな、と思います。
介護支援専門員とは
■介護支援専門員とは
介護支援専門員(ケアマネジャー)は、介護保険法に位置づけられた職種であり、介護保険の根幹である、「ケアマネジメント」を担う専門職です。
介護保険法の中では、「要介護者または要支援者(以下「要介護者等」という。)からの相談に応じ、要介護者等がその心身の状況等に応じ適切なサービスを利用できるよう、市区町村、サービス事業者等との連絡調整等を行う者であって、要介護者等が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的知識および技術を有するものとして介護支援専門員証の交付を受けたもの」と定義されています。
介護保険サービスは、ケアプランをもとに提供されます。
ケアマネジャーの業務はケアプランを作成することですが、作成にあたっては要介護者にどんなサービスが必要かアセスメントし、サービスを提供する事業所との調整が必要となります。
介護保険サービスは介護度によって受けることができるサービスの量が定められています。支給限度額を超えると、超えた分は10割負担でないとサービスを受けることができません支給限度額の管理をすることも、ケアマネジャーの業務となっております。
受験資格を確認しよう
ケアマネジャーの試験を受けるには、一定の職種で5年かつ900日以上の勤務実績が必要です。従事時間についての定めはありませんので、フルタイム従業者でなくとも試験前日までに900日以上働けば、受験資格を取得することができます。
一定の職種とは、
①医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、技師装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士、管理栄養士、精神保健福祉士といった医療系の資格を所持し、かつその資格にもとづいての勤務歴があること
②生活相談員という職種で、特別養護老人ホーム等での勤務実績があること
③支援相談員という職種で、介護老人保健施設での勤務実績があること
④相談支援専門員という、障害分野において計画相談支援業務に勤務実績があること
⑤生活困窮者自立相談支援事業において、主任相談支援員としての勤務実績があること
私は平成29年から社会福祉士という国家資格にもとづいて病院や介護老人保健施設の相談員という仕事をしておりますので、令和4年度の試験でようやく受験資格を得ることができます。
ケアマネジャーの働く場所は?
ケアプランを作成するケアマネジャーの働く場所は大きく分けて二か所あります。
・居宅介護支援事業所
いわゆる居宅ケアマネと、施設ケアマネという分け方があります。
居宅ケアマネは、独立することも可能です。
一方施設ケアマネは、介護職員などと兼務するという働き方もあります。介護職員と施設ケアマネの兼務ができれば、夜勤もできるので給与面の確保も可能かもしれません。
資格が取れると…
介護支援専門員の資格は、試験に合格しただけでは取得できません。試験合格後に研修を受講することで、初めて手にできる資格です。5年ごとの更新制にもなっており、その都度講習費を支払う必要があるため資格の維持費もかかります。
しかし資格は持っていることで、将来の選択肢が広がります。
私の職場では、資格手当を得ることができます。
転職するにあたっても、資格を持っていることは大きなアドバンテージとなります。
介護士<ケアマネジャー!?
余談ですが、よく無資格介護士のキャリアステップの最終到達点としてケアマネジャーが示されている場面を見かけますが、私はその考え方には反対です。
介護士の上位は国家資格である介護福祉士ですが、ケアマネジャーは民間資格です。業務内容も異なるため、その二つは比較対象になりません。
次回予告!!
さて次回は、今年度開催されたケアマネ試験の問題を解いた様子を記事にしたいと思います。
何点取れるのかな?お楽しみに!
老健(ろうけん)ってどんなところ?
皆さんこんにちは。
Harukich@社会福祉士です。
私のブログではたびたび出てくる「老健」という言葉。介護保険施設の一つです。
今回の記事では、この「老健」=「介護老人保健施設」について紹介します。
・家族を介護していて施設を探している方
・介護施設への就職を考えている方
など、老健に興味を持っている方、ぜひ参考にしてください。
介護保険施設とは
介護保険施設とは、介護保険サービスを使って入所(入院)する以下の3施設を指します。
・介護老人保健施設
・介護医療院(従来の介護療養型医療施設)
いずれも介護保険を所持している高齢者が居住する施設なのですが、いわゆる終の棲家が特別養護老人ホーム、リハビリをできる施設が介護老人保健施設、より医療的なニーズに応えることができるのが介護医療院、と思っていただけたらと思います。
では、介護老人保健施設とは具体的にどんなしせつなのでしょうか。
介護老人保健施設とは
介護保険法第一章第八条第28項によると、介護老人保健施設の定義は以下のようになっております。
この法律において「介護老人保健施設」とは、要介護者であって、主としてその心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者(その治療の必要の程度につき厚生労働省令で定めるものに限る。以下この項において単に「要介護者」という。)に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設として、第九十四条第一項の都道府県知事の許可を受けたものをいい、「介護保健施設サービス」とは、介護老人保健施設に入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて行われる看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話をいう。
う~ん、難しいですね…
介護老人保健施設ができたころは、「病院と自宅の中間施設」と銘打たれていました。そしてその機能は、現在も目標とするように国から求められています。
中間施設としての機能をより担えている施設ほど、高い報酬を得ることができています。
中間施設って、どういうこと?
では中間施設とはどういうことでしょうか。
・病院に入院していた要介護者が、すぐには自宅へ退院することができないため一時的に入所し、リハビリテーションなどを受けて自宅へ戻る準備をする施設
⇒病院から直接自宅へは帰れないから老健を経由しましょう
・病院に入院して治療を受けるほどではないが、自宅では十分なケアを受けることができ、要介護者が入所し、医学的管理と看護サービスを中心に受けることができる施設
⇒リハビリや医療処置が必要だけれど病院へ入院できるほどではないから、一時的に老健へ入所しましょう
という考え方ができる施設かな、と思います。
また様々な職種が働いているので、多角的な目線から支援を受けることができるのも大きなメリットかと思います。
入所期間が一時的に、とは?
老健は、終の棲家ではありません。先ほどからお伝えしておりますが、一時的に入所する施設です。
施設によりますが、原則入所期間は定められておらず、長期的な入所…状況によっては看取りまで対応してくれる施設もあります。
しかし個人的には、あくまで「一時的」に利用する施設でありたいですし、その期間は3か月であれば、と思います。
⇓入所期間については、こちらの記事もご覧ください。
多職種で協働して支援しよう!
老健は、様々な資格を持った職員が働いております。
医師、薬剤師、看護職員、介護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、支援相談員、介護支援専門員、栄養士…
それぞれ入所者100名に対し一人、などと人員配置基準が定められております。
ちなみに私の職種である支援相談員は、入所者100名に対し一人、必ず常勤でいなければなりません。
そしてこのように様々な職種が入所者に対し多角的な目線でかかわることにより、再び自宅で生活できるようサポートをするのです。
お薬の謎
老健へ入所するとき、「お薬は多めに持ってきてくださいね」なんて言われたこと、ありませんか?または、「このお薬はないからうちの施設で出せる薬に変えますね」なんて言われたこと、ありませんか?
老健では、お薬代を別途請求されることはありません(医師の診察代も請求されることはありません)。
なぜなら、老健における診察代とお薬代は通常の料金に含まれているからです。要するに、お薬代は施設の負担となるため高いお薬はそもそも処方することができません。
「じゃあ病院に行ってその高い薬出してもらえばいいじゃん!!」
と考える方もいるかと思いますが、そういうわけにもいきません。
老健には先ほど書いた通り医師、薬剤師が配置されており、診察と処方は施設が行うべき、とされています。もちろん専門的な診察は検査を含めてできませんので、そのようなときは大きい病院での診察が必要になりますが…
老健に入所している方が外の病院へ受診した場合、診察代の一部とお薬代は施設が支払わなければなりません。
なので、お薬は一部変更となったりするのです。
まとめ
老健=介護老人保健施設は、自宅での生活が困難になった方が一時的に入所して、再び自宅で生活することを目標に生活を送ってもらう施設です。
その過程で様々な職種がかかわり、意見交換(カンファレンス)をしながらより最善を目指して支援をいたします。
理想としては、老健への定期的な入退所を繰り返す中で、年齢を重ねるとともに徐々に自宅での生活が困難となっていき、要介護度の数字が重くなった時には長期入所も検討する、あるいは特別養護老人ホームへ入所する、ということかもしれません。
いずれにせよ、老健は高齢者が自宅での生活をより長く送るためには便利な施設である、と私は考えています。
ぜひ介護している方はうまくご活用ください。
そして就職を考えている方は、ぜひ足を踏み入れて頂きたい施設です。ADLが向上して自宅へ退所し、老健に併設するデイケアセンターに通所している姿を見かけるのは、とてもうれしい気持ちになりますよ。
信頼関係の構築に!バイステックの7原則とは!?
皆さんこんにちは。
Harukich@社会福祉士です。
社会福祉士の方にはなじみの深い、F・P・バイステック。かの有名な「ケースワークの原則」の著者ですね。
本の副題には「援助関係を形成する技法」とあるように、この原則はソーシャルワークを行うにあたり大切にすべき、入り口の第一歩でありかつ根幹であると私は考えています。
そして活用すべき場面はソーシャルワークに限らず、日ごろ接する方や大切にしたい方など、いろんな人とのコミュニケーションをとるときに使える原則だと私は考えています。
そこで今回のブログでは、7原則それぞれをできる限り簡単に解説します!
この記事を読んでくださった皆さんが、少しでも多くの方と円滑にコミュニケーションを図れるようになることを願っています。
個別化
一つ目の原則は、「個別化」の原則です。
多くの人と接するこの仕事。幾度となく、似ているケースに遭遇することがあると思います。しかし個々に抱える問題は異なるため、一つ一つが独立したケースとして対応しましょう、ということです。
例えば…中学英語で、「a」と「the」の違いを習ったこと、覚えていませんか?イメージとしては、この「a」と「the」の違いと同じように考えると良いかもしれません。
かごの中にリンゴがたくさん入っています。
「かごの中からリンゴを一つ取って食べた」だと「an apple」なのですが、
「この(特定の)リンゴを選んで食べた」だと「the apple」になる。
似ていても違うのだから、それぞれに合った対応をしよう、ということです。
偏見や先入観にとらわれず、一人を一人として認識し、丁寧に対応しましょう。
意図的な感情の表出
二つ目の原則は、「意図的な感情の表出」の原則です。
福祉の相談に来る方は、様々な感情を持っています。喜や楽といったプラスな感情だけでなく、恕や哀といったマイナスな感情を持っている方は少なくありません。
ケースワークにおいては、そういったマイナスな感情も含めて自由に感情を表出してもらうことを促します。
上のイラストの女性、なんだか困っている様子ですよね。思っていることをすべて吐き出してもらえるような環境づくりを行うのです。
皆さんも、信頼している相手ほど怒りや悲しみといった感情をぶつけやすくありませんか?
統制された情緒的関与
三つ目の原則は、「統制された情緒的関与」の原則です。
実はわたくし、この原則の内容を理解することにとても時間がかかりました。
「援助者は自分の感情を自覚して吟味する」との説明がありますが、
「はい?」という思いでした。
さて、二つ目の原則にあるように、相談者は援助者に対し色んな感情を表出します(あえて表出してもらいます)。
その感情に対し、都度適切に反応しよう、ということです。
では適切とは何か。喜びの感情に対して一緒に喜ぶことは良いと思いますが、怒りの感情に対し一緒に怒ってしまうと、どうなるでしょうか。
悲しい気持ちを訴えたときに、安易にうなづかれるとどう思いますか?
私としては、先ほどの面接場面を、対応している様子を俯瞰してイメージで挑むようにしています。
上図を参考に、面接している自分も含めて、全体を上の方から眺め見るようにして面接に挑むと、適切な反応をすることができるでしょう。
受容
四つ目の原則は、「受容」の原則です。
この記事を読んでくださっている男性諸君、奥さまや彼女等大切な女性から相談されたとき、「こうすればいいじゃん」とアドバイスしたことありませんか?その時あなたの大切な女性は、どのような反応をしましたか?
もしかしたら相手は、答えなど求めていなかったのかもしれませんね。
福祉の相談・面接場面でも似たようなことが言えるかと思います。
我々支援者は、相談者に対し評価を下す人間ではありません。抱える問題を解決するお手伝いはできますが、あくまで解決するのは相談者自身です。
解決のお手伝いをするにあたり大切なのは、相談者の言っていることをありのままに受け止めることです。
決して否定などせず、大切な意見として尊重して対応しましょう。
非審判的態度
五つ目の原則は、「非審判的態度」の原則です。
我々支援者は、医師や警察、裁判官ではありません。犯罪等の絶対にしてはいけない行為を除き、相談者の行った行動に対して善悪を決めつけてはいけません。
例えば、親しい方に悩み相談をしたときに、「それは駄目だよ」と言われたらどう思いますか?
また、これから関係性を築いていくであろう人に「それは駄目だよ」と言われたらどう思いますか?
先入観や偏見の目を持つことなく、接するようにしましょう。
クライエントの自己決定
六つ目の原則は、「自己決定」の原則です。
相談者の今後を決める際、その方向性を決めるのは誰だと思いますか?
将来を考えたとき、分岐点において進む方向を悩んだとき、「あなたはこっちの道を選びなさい」と周りの方に言われたらどう思いますか?
主体となるのは相談者:クライエントです。クライエントが自身で解決への道を決定できるよう、支援をするのが我々の仕事であります。
クライエントの自己決定を促し、尊重しましょう。
秘密保持
最期、七つ目の原則は「秘密保持」の原則です。
近ごろSNSにおいて、「その情報のアップしていいのか」と思うような投稿をよく見かけます。
支援過程において、どうしたら良いのだろうかと悩むことは多々あるかと思います。しかし、安易にSNSにアップすることは止めましょう。その様子を相談者が見たら、どう思うでしょうか。
親しい人に「秘密だよ」と相談したことを、違う人がうわさしていたらどう思いますか?
個人情報はしっかりと管理しましょう。
最後に
今回は、「バイステックの7原則」についてお伝えしてみました。
この原則は福祉の面接場面に限らず、日常生活においても活用できる場面は多いかと思います。
また私の現時点での解釈でありますので、今後も7原則に対する考え方は変わるかもしれません。皆さんにとってもそれぞれ考えることは違うでしょう。
ぜひ皆さんの考える7原則の重要性についても、教えてもらえたらと思います。
入所費用が高くなった!?
皆さんこんにちは。
Harukich@社会福祉士です。
さて先日、twitterのタイムライン上でこんなツイートを見かけました。
「せっかく安い特養に預けているのに、月の費用が上がったじゃないか。お金がないから安い所へお願いしているのに。これでは意味がない。」
私が勤務する施設でも、確かに利用者負担額が増額した方がいます。
介護保険施設の入所費用には、一部応能負担が適用されています。要するに、
「年金受給額が少ない方は費用を減免するよ」
という制度-限度額適用認定証の制度-があるのです。
この制度は毎年8月1日が切り替えの時期なのですが、今年の8月1日から制度に一部変更がありました。預貯金額が相応にある方は、減額幅が減少してしまったor制度の適応外になってしまったのです。
・限度額適用認定証の制度とは
介護保険負担限度額認定証とは、介護保険施設に係る費用負担の一部が、減額される制度です。
介護保険施設に係る費用とは、介護保険施設サービス費の一部(多くの方は1割)、食費、居住費に加えて、おむつなど日用品を含んだ実費負担分です。一般の方は、これらの費用が合わさってだいたい10万円から15万円程度が月々の費用として支払っているかと思います(詳しい金額には地域差がございます)。
しかし一部の方はこれらの費用のうち、食費と居住費について減額制度を利用することができます。それが「限度額適用認定証の制度」です。
制度を利用できる方は、低所得の方のみです。
介護保険施設へ入所の相談に行ったとき、年金受給額を尋ねられたことはありませんか?もしかしたら「失礼なことを聞くな」と思った方もいるかもしれません。しかしこの年金受給額が、この制度を利用できるかどうかの判断基準となるのです。
正確には、住民税非課税世帯の方のみが利用できる制度です。
自営業をやっていた方などで収入は年金のみ、かつ国民年金しか受給していない方=年金受給額が概ね月65,000円以下の方は、この制度の対象となる、と考えても良いでしょう。
・どこの施設で使えるの?
先ほどからお伝えしているように、この制度が使える施設は介護保険施設とショートステイのみです。デイサービスやヘルパーといった居宅サービスや、有料老人ホーム、グループホームでは使えませんのでご注意ください。
・介護保険施設とは
介護保健施設は全部で以下の3種類があります。
①特別養護老人ホーム(通称:とくよう)
②介護老人保健施設(通称:ろうけん)
③介護医療院(通称:いりょういん)
利用するにあたってはそれぞれにメリットデメリットがあり、端的にお伝えすると
①特養は介護が必要な方にとっての終の棲家となる施設
②老健はリハビリをして在宅復帰を目指す施設
③医療院は介護と医療の両方のニーズを持つ方が長期的に療養できる施設
となっております。
ちなみに老健はよく「3か月しか入所できないよ」という話を聞くかと思いますので、その根拠はこちらをご覧ください。
・どれくらい安くなるの?
限度額適用認定証には、生活保護世帯等が適用となる第一段階から、住民税課税世帯となる一般の方が適用となる第四段階までの全部で4つの段階があります。ここでは大雑把な金額のみお伝えしますが、多くの方が先ほどの金額から4万円ほど安くなる、と思っていただければと思います(詳しい説明は割愛します)。
しかしこの8月1日から、制度に一部変更がありました。従来の第三段階がさらに二段階分割されたのです。
・いくら高くなった?
上図にあるように、この8月から負担限度額認定証の制度に「第3段階②」という項目が加わりました。どの段階に適用されるかは、年金収入額と預貯金額によります。
今年の7月まで第3段階だった方の中で、収入がある方は第3段階②に、預貯金がある方は第3段階②あるいは第4段階(一般の方)となったというわけです。
従来第3段階だった方が第3段階②の適用となった場合、1,360円-650円=710円/日となるので、710円×30日=21,300円/月高くなったのですね。一年に直すと、255,600円高くなった、ということとなります。
食費は施設ごとに設定が可能ですので、第3段階だった方が第4段階となった場合の差額はわかりません。かつ居住費も高くなりますので、年間で50万円ほど介護施設に支払う額が増えてしまうかもしれません。
したがって、冒頭のように
「せっかく安い特養に入れたのに」
という意見になるわけですね。
しかし厚生労働省から出ているリーフレットをご覧いただければと思いますが、月々の支払が増え預貯金額が減ってしまった結果、認定要件を満たすこととなれば再度申請したのち負担減額の対象となるのです。
・どうすべきか
介護保険施設の支払いは、応能負担です。預貯金がある=支払うことができる、と行政が判断しておりますので、支払っていただく以外の方法はありません。
ただし一つ方法があるとすれば、「世帯員の構成を見直す」ことを検討しても良いかもしれません。
・本人の年金等収入額はいくらか。
・預貯金は本人名義の物か。
預貯金を持っているご家族と同一世帯となっている場合は、お気を付けください。
・役所の窓口で申請を
介護保険負担限度額認定証の制度は、申請主義です。たとえ住民税非課税世帯であっても、申請しないことには制度の利用ができません。一度非該当となった後の預貯金が減り認定要件を満たすこととなった場合も、知らせてくれることは無いと思います。
また制度そのものが一年ごとの更新制となっておりますので、来年の8月からは再び第3段階①(従来の第3段階)の適用となる可能性もございます。
以上踏まえたうえで、今後の入所費用の支払いについて、考えて頂ければと思います。
国試の勉強をしよう!
皆さんこんにちは。
Harukich@社会福祉士です。
初回ブログで書きましたが、私は大学卒業後に仕事をしながら通信制の専門学校を経て社会福祉士の資格を取得しました。
↓当時の経緯はこちらから
先述したように一回目の試験では不合格でして、働きながらかつ子どももいる中で勉強することの大変さを実感しました。単純に勉強量が不足していたのだと思います。
試験まで、あと4か月ほどとなりましたね。
今回のブログでは、二度受験組の私の勉強法をお伝えします。参考にしていただければ幸いです。ただし合わなければ、他の勉強法を探してみてください。合わないことがわかることも、重要だと思います。
反省点
不合格がわかった時点で、なぜ?を考えました。当然慢心もあったのでしょうが、一番大きかった要因は勉強時間が不足していた、です。
私は試験を受けた当時はすでに子どもがいました。
子育て家庭で一番大変なのは、勉強時間の確保かと思います。特に一日の中でまとまった時間勉強することは困難でしょう。そこで私が心がけたことは次の2点です。
①早くから勉強する
②隙間時間に勉強する
順番に説明します。
①早くから勉強する
早い、というのは朝早く、という意味ではありません。特に私は早起きが苦手で、今流行りの朝活なんていうことはとても考えられませんでした。一日単位での速さを考えるのではなく、「早い時期から勉強をする」ということです。そもそも社会福祉士国家試験の範囲はとても広く、短い勉強時間ではすべてを網羅することは困難です。私の場合、試験を受ける前年の4月頃から、10か月かけて試験勉強をしました。一日当たり確保できる時間は短くとも、勉強する期間を長く設けることで量を確保するようにしました。
②隙間時間に勉強する
これは多くの方が実践しているでしょうが、スマホアプリの一問一答ですね。私は無料のものをインストールしましたが、無料・有料どちらの物でも良いかと思います。仕事の休憩時間や通勤中、寝る直前など…とにかくスマホを触った後には必ずアプリを開くようにしました。問題に慣れる、という意味を考えると、過去問を一問一答にしたアプリが良いかもしれませんね。特に国家試験の問題の書き方は独特な物がありますから、早いうちから文章に慣れる必要があるでしょう。
参考書選びをしよう!
参考書、色んな会社から発売されていますよね。「どれを買ったらいいのだろう?」と悩む方はたくさんいらっしゃるかと思います。中には、何冊も購入される方もいるかもしれません。
しかし私の考え方としては、参考書は一冊で十分です。大切なことは、一冊の参考書をやりこむことです。そもそも参考書は教科書の内容を網羅していますので、参考書で理解しきれない部分は教科書で補完する、という考え方で勉強を進めました。
ちなみに私が使用した参考書は以下の物です。
過去問を解こう
参考書を繰り返し読み込むことで、なんとなく知識が身についてきたら次にすることは、「過去問を解くこと」です。過去問集もどちらの会社でも良いかと思いますが、私はレビュー・ブックを選びました。
合格しよう!
今回紹介したのは、私の国家試験に合格するための勉強法です。広い試験範囲ですべての内容を習得することは困難でしょう。特に、自身が就業している分野以外の内容はなかなか覚えられないかと思います。
試験を受ける目的を思い出してください。合格しないことには、社会福祉士と名乗ることはできません。試験に受かって初めて、社会福祉士としての活動ができるようになるのです。
社会福祉士は、生涯学習です。試験に受かってからもずっと、社会福祉士としての鍛錬は必要です。そのスタートラインに立つためにも、まずは試験合格です。
少しでも多くの方が、社会福祉士としての活動を始めることができますように。
社会福祉士の給与upはどうなるの?
皆さんこんにちは。
Harukich@社会福祉士です。
本日は自民党総裁選があり、新総裁には岸田文雄氏が選ばれましたね。仕事の合間にニュースで見ましたが、まずは菅総理、お疲れさまでした。安部前首相もだいぶお痩せになった印象でした。
私は評価する立場にありませんので今までのコロナ禍での対応如何について述べるつもりはありませんが、今後は願わくば
・ワクチン接種の加速化
・マイナンバーカードと接種履歴の紐づけ
・コロナ貧困家庭への給付金支給
と、withコロナ時代をみんなで生き抜けるような政治を実行していただきたいと思います。せっかくマイナンバーカードの推進をしているのだから、今の時勢にあったボーナスをつければいいのにな、と思う今日この頃です。
そんな中で気になるニュースを見つけましたので紹介します。といってもご存じの方も多いかと思いますが…
岸田文雄氏が総理大臣になった後には、介護士や保育士等エッセンシャルワーカーの給与を上げる政策に取り組んでくださるようですね。保育士に関しては現場を離れて長いので処遇改善の内容はわかりかねますが…介護士に関しての処遇改善に関する政策は既になされており、しっかりとした企業であればそれなりの給与がもらえているはずです。特定処遇改善加算というものもございますので、10年以上勤務を継続しており夜勤も行っている介護職員の給与は、すごい額になっているのではないでしょうか。もしかしたら、介護施設においては事務長や施設長(施設長が医師の場合を除く)より一般介護員の方が手取り額が多くなる可能性もあるかもしれませんね。
ただし、「加算」である以上は算定できるだけの体制を整えている必要があることと、企業がきちんと職員に還元する、という意識を持っていることが条件かと思います。
さて問題は、エッセンシャルワーカーの中に我々社会福祉士は含まれるのだろうか、ということです。
社会福祉士の必要性は説かれて長いかと思いますが、社会福祉士という資格が名称独占である以上、社会福祉士にしかできない業務というものは無いのですよね。
私は医療と介護の二分野で社会福祉士として働いてきましたが、いずれも人員配置基準上社会福祉士が必置な職場ではありませんでした。病院によっては社会福祉士がいなければならない病棟があったり、加算を算定するにあたり社会福祉士の配置が必要であったりはしますが、我々の業務そのものが直接お金になるか、というとそれは現状難しいわけで。
岸田さんねぇ。
— はるきち@社会福祉士 (@SW52514741) 2021年9月29日
社会福祉士やソーシャルワーカーの存在も知ってほしいな。
我々の業務、報酬算定できないもの多いですからね。
ツイートにもあるように、我々の業務は評価がしづらいのですよね。
そして加算として給与に反映される額も、介護士をしている方が多く、手取り額も高くなる。
となると、今後社会福祉士になる人材は減るのではないか。また資格を持っていても社会福祉士として活動する人材は少なくなってしまうのではないか。社会福祉士の、ソーシャルワーカーの仕事がしっかりと評価される仕組みづくりをしてもらえたらな、そう思います。
最後に一言。「ノーサイド」という言葉を使うのであれば、「ノーサイド ワンチームで」にすれば良かったのにな、と思う元ラガーマンでした。