老健(ろうけん)ってどんなところ?

皆さんこんにちは。

Harukich@社会福祉士です。

私のブログではたびたび出てくる「老健」という言葉。介護保険施設の一つです。

今回の記事では、この「老健」=「介護老人保健施設」について紹介します。

・家族を介護していて施設を探している方

介護施設への就職を考えている方

など、老健に興味を持っている方、ぜひ参考にしてください。

 

介護保険施設とは

介護保険施設とは、介護保険サービスを使って入所(入院)する以下の3施設を指します。

特別養護老人ホーム

・介護老人保健施設

・介護医療院(従来の介護療養型医療施設

いずれも介護保険を所持している高齢者が居住する施設なのですが、いわゆる終の棲家が特別養護老人ホーム、リハビリをできる施設が介護老人保健施設、より医療的なニーズに応えることができるのが介護医療院、と思っていただけたらと思います。

では、介護老人保健施設とは具体的にどんなしせつなのでしょうか。

介護老人保健施設とは

介護保険法第一章第八条第28項によると、介護老人保健施設の定義は以下のようになっております。

この法律において「介護老人保健施設」とは、要介護者であって、主としてその心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者(その治療の必要の程度につき厚生労働省令で定めるものに限る。以下この項において単に「要介護者」という。)に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設として、第九十四条第一項の都道府県知事の許可を受けたものをいい、「介護保健施設サービス」とは、介護老人保健施設に入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて行われる看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話をいう。

引用元:介護保険法 | e-Gov法令検索

 

う~ん、難しいですね…

 

介護老人保健施設ができたころは、「病院と自宅の中間施設」と銘打たれていました。そしてその機能は、現在も目標とするように国から求められています。

中間施設としての機能をより担えている施設ほど、高い報酬を得ることができています。

 

中間施設って、どういうこと?

では中間施設とはどういうことでしょうか。

・病院に入院していた要介護者が、すぐには自宅へ退院することができないため一時的に入所し、リハビリテーションなどを受けて自宅へ戻る準備をする施設

⇒病院から直接自宅へは帰れないから老健を経由しましょう

・病院に入院して治療を受けるほどではないが、自宅では十分なケアを受けることができ、要介護者が入所し、医学的管理と看護サービスを中心に受けることができる施設

⇒リハビリや医療処置が必要だけれど病院へ入院できるほどではないから、一時的に老健へ入所しましょう

という考え方ができる施設かな、と思います。

また様々な職種が働いているので、多角的な目線から支援を受けることができるのも大きなメリットかと思います。

 

入所期間が一時的に、とは?

老健は、終の棲家ではありません。先ほどからお伝えしておりますが、一時的に入所する施設です。

施設によりますが、原則入所期間は定められておらず、長期的な入所…状況によっては看取りまで対応してくれる施設もあります。

しかし個人的には、あくまで「一時的」に利用する施設でありたいですし、その期間は3か月であれば、と思います。

 ⇓入所期間については、こちらの記事もご覧ください。

harukichi-sw.hatenablog.com

 

多職種で協働して支援しよう!

老健は、様々な資格を持った職員が働いております。

医師、薬剤師、看護職員、介護職員、理学療法士作業療法士言語聴覚士、支援相談員、介護支援専門員、栄養士…

それぞれ入所者100名に対し一人、などと人員配置基準が定められております。

ちなみに私の職種である支援相談員は、入所者100名に対し一人、必ず常勤でいなければなりません。

そしてこのように様々な職種が入所者に対し多角的な目線でかかわることにより、再び自宅で生活できるようサポートをするのです。

 

お薬の謎

老健へ入所するとき、「お薬は多めに持ってきてくださいね」なんて言われたこと、ありませんか?または、「このお薬はないからうちの施設で出せる薬に変えますね」なんて言われたこと、ありませんか?

老健では、お薬代を別途請求されることはありません(医師の診察代も請求されることはありません)。

なぜなら、老健における診察代とお薬代は通常の料金に含まれているからです。要するに、お薬代は施設の負担となるため高いお薬はそもそも処方することができません。

「じゃあ病院に行ってその高い薬出してもらえばいいじゃん!!」

と考える方もいるかと思いますが、そういうわけにもいきません。

老健には先ほど書いた通り医師、薬剤師が配置されており、診察と処方は施設が行うべき、とされています。もちろん専門的な診察は検査を含めてできませんので、そのようなときは大きい病院での診察が必要になりますが…

老健に入所している方が外の病院へ受診した場合、診察代の一部とお薬代は施設が支払わなければなりません。

なので、お薬は一部変更となったりするのです。

 

まとめ

老健=介護老人保健施設は、自宅での生活が困難になった方が一時的に入所して、再び自宅で生活することを目標に生活を送ってもらう施設です。

その過程で様々な職種がかかわり、意見交換(カンファレンス)をしながらより最善を目指して支援をいたします。

理想としては、老健への定期的な入退所を繰り返す中で、年齢を重ねるとともに徐々に自宅での生活が困難となっていき、要介護度の数字が重くなった時には長期入所も検討する、あるいは特別養護老人ホームへ入所する、ということかもしれません。

いずれにせよ、老健は高齢者が自宅での生活をより長く送るためには便利な施設である、と私は考えています。

ぜひ介護している方はうまくご活用ください。

そして就職を考えている方は、ぜひ足を踏み入れて頂きたい施設です。ADLが向上して自宅へ退所し、老健に併設するデイケアセンターに通所している姿を見かけるのは、とてもうれしい気持ちになりますよ。